2015年11月1日日曜日

「まちライブラリー」に加盟しました

  過日、磯井純充さん(森記念財団普及啓発部長、大阪府立大学客員研究員、一般社団法人まちライブラリー代表理事)ご夫妻が来館されました。
 六本木・森ビルのアークヒルズを舞台に「アーク都市塾」や会員制図書館「六本木アカデミーヒルズ」など、斬新なプロジェクトを立ち上げたことで知られていた磯井さんですが、現在はビジネス界から少し距離を置き、大勢のボランティアとともに、大阪を拠点とする「まちライブラリー」「マイクロ・ライブラリー」を全国に普及させる運動を興し、その先頭に立っておられます。


 「まちライブラリー」とは至るところに大小の民間図書館をつくって、地域社会の活性化に貢献する施設、「マイクロ・ライブラリー」はアメリカではじまり世界数万か所に拡大している「リトル・フリー・ライブラリー」(だれでもできる巣箱のような小さな図書館)に触発されて命名した「まちライブラリー」の別名です。
 巨大なショッピングモールや大学から、一般家庭の一室まで、カフェ、病院、商店などなど、あらゆるところに「まちライブラリー」が誕生しています。公共図書館の一角にもつくられています。人がいて、本があれば、そこにライブラリーができる可能性があることを、磯井さんは発見したのでしょう。
  東日本大震災と原発事故以来、日本では「絆」や「つながり」の重要性が再認識されるようになりました。2011年からはじめられた磯井さんたちの運動にもその社会変動の影響が感じられます。国公立図書館や大学図書館ではない民間図書館をつくる動きは震災前からありましたが、震災を契機にその動きが「本をつうじて人とつながる」ことを目的とするようになり、一気に高まってきたような気がします。
 そういえば「癒しと憩いのライブラリー」もその構想が生まれたのは2012年、開館が翌年で、震災や原発事故の脅威のもとでコミュニティとともに生き延びる知恵を共有したいという意図が無意識のうちにあったのかもしれません。ユングが説いた「シンクロニシティ」の一例だと思います。
 当ライブラリーの蔵書や空間構成を見た磯井さんからは「ホテルにあるライブラリーとしては群をぬいて充実している」とお褒めのことばをいただき、「来年のマイクロ・ライブラリーサミットに是非参加してほしい」と誘われました。

 というわけで、当ライブラリーは「まちライブラリー」「マイクロ・ライブラリー」のネットワークに加盟することになりました。伊豆のリゾートホテルでひっそりと開館していたライブラリーが全国の仲間とつながることになったのです。
 そのネットワークの活動に関心がある方は磯井さんの著書『まちライブラリーのつくりかた』『マイクロ・ライブラリー、人とまちをつなぐ小さな図書館』(ともに学芸出版  社)、『マイクロ・ライブラリー図鑑』(一般社団法人まちライブラリー)をご覧ください。



<参考情報>
 「まちライブラリー」URL   http://machi-library.org/
 「癒しと憩いのライブラリー」紹介URL http://machi-library.org/where/detail/1167/