2015年8月30日日曜日

安倍さんの手に「永遠平和」

 当ライブラリーは、館内での閲覧は自由(どなたでも無料で読める)ですが、本の貸し出しは会員制をとっていて、「sx(サザンクロスの略称)ブックシェアクラブ」(入会金1000円)に入会していただいた方には2週間、5冊をお貸しすることができます。

集英社HPへ
最近、その会員のおひとりで川奈に別荘をおもちの池孝晃さんから1冊の本を寄贈していただきました。編集者である池さんが企画制作された『永遠平和のために』(カント著、池内紀訳、集英社)です。

 帯に記された「16歳からの平和論。この本から国連や憲法9条が生まれた」というキャッチーなコピーに惹かれて同書を一読させていただき、著者の炯眼に感銘を受けました。その感銘が色褪せないうちにと池さんに電話をしてお礼をのべ、ついでに半ば冗談で「安倍普三に読ませたいですね」と伝えました。

 それからしばらくしてライブラリーに来館された池さんから、その冗談が実現したことを知らされて驚きました。あらましは以下のとおりです。

 翻訳者の池内紀さんがTBSテレビで同書について語る機会があり、その番組の収録後、池内さん、池さん、集英社の別の編集者の一行が赤坂の老舗蕎麦店に行ったときのことです。個室に入って蕎麦を食べはじめた一行への挨拶にきた女将が、話のついでに安倍首相が来店していることを告げました。池内さんたちは「この本を安倍さんに手渡してくれないか」と軽い気持ちで女将に頼んだそうです。

 しばらくして個室に入ってきたのは安倍首相その人でした。首相は丁重に池内さんにお礼をのべ、ガードマンを引き連れて帰っていったそうです。

 「積極的平和主義とかいっている人だから、なにか参考になるとでも思ったのかな」池さんはそういって笑っていました。

 安倍さんがその本を本気で読んでくださることを切に願うところです。

上野圭一